中之島、江之子島、豊中、伊那谷
中塚宏行
大阪市では、大阪中之島美術館が32年間の準備室時代を経て、ついに昨年3月に開館した。運営はPFIコンセッション方式、株式会社朝日ビルディングが設立した特別会社が運営する。開館にちなんで、京都の星野画廊で「大阪の近代美術史再検証の一助としてー大阪の画家と作品、発掘顕彰展」が7月8日~30日に開催された。松原三五郎(1864~1946)、山内愚僊(1866~1927)、河合新蔵(1867~1936)、織田東禹(1973~1933)、八條弥吉(1876~1937)、宇和川通諭(1877~1942)、吹田草牧(1890~1983)ら、大阪の明治以降の初期近代洋画史を振り返るうえで、珍しい作品が数多く展示された貴重な展観であった。なかでも河合新蔵「道頓堀」(1914)は第8回文展出品作。明治洋画の研究は近年かなり進んでいるが、美術館の開館に30年を要した大阪において近代洋画の研究の出遅れ感は否めない。その中で私は、明治期の大阪府立博物場と美術館、第5回内国勧業博覧会と美術館などに関心をもって関連資料を調べている。
また大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)の指定管理者が、4月から長谷工から吉本興業に代わり、それに伴って在籍していた学芸系スタッフの大半が退職した。お笑いと大阪のイメージが強い吉本興業であるが、美術/アートの分野で、今後どのような展開をするのか、見守りたい。
6~7月にかけて、豊中市文化芸術センターで「豊中の4人-野村廣太郎、青野馬左奈、平通武男、小出三郎」を開催、地域の美術史を発掘と検証に取り組む。
あと、きょうと視覚文化振興財団の企画「美術と風土―アーティストが触れた伊那谷」展で事務局を務めている。一瀬大智 今井裕之 岩井晴香 占部史人 海野厚敬 奥中章人 梶川俊一郎 川嶋渉 坂井淑恵 柴田知佳子 中島麦 永原トミヒロ 中谷ゆうこ 西久松綾 野嶋革 野原都久馬 蜂谷充志 林繭子 宮田彩加 山田純嗣の20名が出品、参加予定。今年3月、飯田市美術博物館での開催を皮切りに、辰野、豊中、京都、碧南で開催される。