林道郎氏は、本人からの申し出により、9月18日付けで美術評論家連盟の会長職を辞任し、9月20日付けで当連盟を退会いたしました。当連盟は報道されている以上の情報を持ち得ておりませんが、本件を大変遺憾に思うとともに、本件に限らず、あらゆるハラスメントの被害を訴えられた方の人権が守られることを望みます。
当連盟は、人間関係における力の不均衡が世界的に是正されている現況を鑑み、連盟および会員の活動の基盤となる美術評論家の倫理を改めて確認し、今後の方針について新たに検討を続けている最中でした。具体的には、ハラスメント防止のガイドラインの作成と、声明・共同意見の発表方法の見直しについて、それぞれ委員会を立ち上げて取り組んでいます。本件はまだ係争中ではありますが、元会長が不均衡な力関係を行使し得る立場にあった事実を重く受け止め、今後も美術の現場におけるハラスメント事案に対して注視していく所存です。
今後、上記検討中の方針の確定に向けた準備を引き続き進めるとともに、日本の美術と社会に寄与する団体であるべく、より一層努力を続けてまいります。現時点で会長職は空席の状況ではありますが、新会長選出のための準備に速やかに取りかかっていることを申し添えます。次期会長が決定されるまでの期間は、当連盟規約第12条に則り常任委員長が会長の職務を代行する体制で運営を行います。
なお、例年11月頃に発行しており、現在編集作業中の『美術評論家連盟会報』22号ですが、新会長選出準備の影響により遅れる見込みです。読者の皆様と連盟内外の関係各位におかれましては、ご了承くださいますようお願い申し上げます。